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ノッポは雑誌からやっと顔を上げ、何を言うのかと待っていたら、いきなり雑誌の記事を声に出して読み始めた。
「悲鳴と怒声、拳銃の音とドラッグ中毒者の笑い声。魔境と呼ばれる街・トウキョウ。そのトウキョウの外れに森が広がっている。樹海である。普通の人間は一度足を踏み入れたら帰れない。人を飲みこむ森と信じられている。その樹海にはいつの頃からか、ある噂が流れ始めた。
樹海の奥に一軒の家があり、二人の少年が住んでいる。見た目は普通の人間だが、本当は何百年も生きており、すごい力を持っている。彼らの好物である甘い食べ物をあげたら、どんな厄介事でも解決してくれる…。
どう思います? チビ」
「あははっ。まるで俺たちみたいじゃん」
「まるでではありません! そのまま私たちのことを言っているんですよっ!」
俺は少し考える。
「…それっておかしくないか? だってさ、俺たちはそんな百年以上も長生きしてないじゃん」
「ああっ、もうっ! このおバカさんは」
俺の鋭い指摘に、何故かノッポは長い黒髪を掻き毟る。
やばい。ヒステリーが起きる寸前だ。俺は反射的に椅子を引いて、いつでも逃げられる体勢になる。
ノッポを大きく深呼吸すると、片頬を引きつかせ、感情を押し殺した声で説明してくれる。
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