ノッポとチビ

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「あのですね。噂話っていうものは、広まれば広まるほど大袈裟に伝わるものです」 「そういうもんなの?」 「そういうものです。どこの世界に甘い食べ物一つで、厄介事を解決したりしますか。労力に見合ったお金を頂かなければ」  ノッポはすっかり冷えたコーヒーを一口飲み、さらに話しを続ける。 「この記事は半分が嘘で半分が真実ですから、余計に困るんですよ。もし、この記事を本気にして、菓子箱を抱えた遭難者が続出したら困りますし、逆にせっかく裏社会に浸透していた私たちの存在をただの噂だと思われても困ります」 「ああ、確かに困るな。お菓子も好きだけど、肉も好きだからな」  俺も納得して頷くが、なぜかノッポは白い目で俺を見ている。 「…まあ、食べ物のことは置いといて。とにかく、この記事の出所を確かめなければいけません。誰が私たちのことを喋ったのかをね」  ノッポはすっと目を細める。怒ってやがる。  うーん、言い忘れていたけど、俺たちはあくまでも裏社会での厄介事を引き受けるから、表社会に存在がばれるのは困る。だから、依頼者には俺たちの存在を喋らないように、ノッポが脅かしているはずなのに。  ノッポはコーヒーを一気に飲み干し、白いロングコートを羽織る。     
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