ノッポとチビ

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ノッポとチビ

 俺の名前はチビ。歳は十五歳ぐらい。外見は名前の通りチビだ。でも、俺はそのことを気にしたことがない。背の高さをカバーするだけの中身を持っている自信があるし、気にして背が伸びるなら、世界中からチビがいなくなっているだろ? だから、俺は気にしない。無駄に悩まない主義だし、脳みそを働かせるのは俺の役目じゃない。ノッポの役目だ。  ノッポは俺の親友で、名前のとおり痩せて背が高い。歳は二十五歳と主張してるけど、俺は怪しいと思ってる。もっと歳を食ってるんじゃないかな。まあ、何歳だろうと俺には関係ないけどさ。  そのノッポの様子がおかしい。初めて会ったときからおかしなヤツだったけど、今朝はもっと変だ。昨日の夜、俺が拾ってきた雑誌を読んでからだ。とても気になる記事があったらしい。 「そんな真実の欠片もない、下劣な雑誌を読むのはやめなさい」  と、普段のノッポは言っていたくせに。朝から熱心に雑誌を読んでいる。  食事当番のノッポがこんな感じだから、朝食はパンとコーヒーだけだ。目玉焼きでも欲しいところだけど、絶対に聞こえなさそう。     
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