第一話 その犬はある日突然やってきた

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だが、その白い犬は異例だった。 彼が現れた途端、子供達は歓声をあげ彼に群がる。 彼も嬉しそうに尻尾を振り、目を細めて子供達に撫でられ放題だ。 思わずパトロール中の保護者も、自転車から降りて足を止め 「大人しい犬ね。いい子だ」 と感心するほどだった。 だからだろうか? その犬が教室に迷い込んできても、 教師達は誰も保健所に連絡をしなかった。 その日たまたま教室の入り口が開ていた事。 …単に日直当番が閉め忘れ、 たまたま教師も気付かなかっただけなのだが…。 彼がわざわざ一番奥の教室の1組に来た事。 それはただの偶然であるかもしれない。 でも私には、彼が自らが選んで来た事。 彼には最初から全てを悟っていたのだ…。 そう思えてならない。 その犬はそのまま学校に居つく形になり、用務員さんがドッグフードと水を与え、 半ば学校で放し飼いと言う形になった。 彼は「ジョリー」と名付けらた。 当時大人気だったあるアニメに登場する犬から取った名だ。 ジョリーは2年1組を中心に可愛がられていく事になる。
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