第二話 ジョリーと愉快な仲間達

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第二話 ジョリーと愉快な仲間達

やぁ、みんな、 見てくれてありがとう! 僕はジョリー。 本当の名前は別にあるんだけど、 今はもう名乗れない。 その名前をつけ、 僕に愛情を注いでくれた家族には 訳あってもう会えない。 会ってはいけないんだ。 寂しいけれど。 僕がいたら迷惑がかかるから。 今まで沢山の愛情を貰ったから。 僕が居ない方が家族の幸せになるなら、 身を引く事が僕の恩返しさ。 だから僕は旅に出たんだ。 僕は人間が大好き。 中でも子供たちは格別だな。 この名前は子供たち皆がつけてくれたんだよ。 素敵だろ? 僕はジョリー。 さぁ、君も一緒に遊ぼうよ! 昼休み、ジョリーと皆が遊んでいるのを ジャングルジムの上から眺めるのが好きだった。 私は彼が本当に嬉しそうに子供たちと遊ぶ姿をみて、 そんな声が聞こえてくるような気がした。 クラスに一人乱暴者がいた。 その歳にしては体が大きく筋肉質で、 気に入らない事があるとすぐに殴ったり、 椅子や机、ランドセルを投げつけたり。 石を投げたりするのは日常茶飯事。 蛇やヤモリ等をバッドで叩き殺したり、 イナゴを首を引き抜き、 トンボを真っ二つにして楽しんだり。 残虐性も隠さずに堂々と人前でやってのけた。 皆が彼を恐れていた。 だけど怖いから、従う男の子は何人かいた。 その乱暴者一人に二人が舎弟に。 「悪ガキトリオ」と呼ばれ、 更に5人ほどが彼らの周りをヘコヘコと取り巻いていた。 計8名の乱暴者。教師達も頭を抱えていたようだ。 そんな彼らだから、 当初はジョリーが叩かれたり蹴られたりしないか 皆が不安がった。 だが、そんな心配は無用だった。 ジョリーに合った途端、 その乱暴者は真っ先に彼を抱きしめ、 「お前、可愛いなー!」 と言って頭を撫でたのだ。 それから彼はみるみる人が変わったように朗らかになり、 冗談で皆を笑わせ、 クラスを引っ張って行く頼もしい存在へと変化していった。 その残忍な攻撃性は、 リーダーシップとムードメーカーとして プラスの方向に活かされ始めたのだ。 普段から反発し合っていた学級委員と乱暴者が タッグを組むようになった。 それには皆が驚いたものだ。 クラスを取りまとめる学級委員、 明るくさり気無く皆をリードする乱暴者。 そんな形で クラスがうまく一つのチームとして機能し始めた。
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