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彼らはそれぞれが木の枝を手にしている。
枝を両手に持つ子、
太くて長い木の枝を1つ持つ子にわかれ
ジョリーを取り囲み、
それはそれは嬉しそうに、楽しそうに歓声をあげながら。
ジョリーを力一杯殴り、叩いていた。
中には
サッカーボールのように蹴る子もいた。
あんなに楽しそうに遊んでいたのに?
あんなに可愛がっていたのに?
ドウシテ?
ドウシテソンナヒドイコトガデキルノ?
ジョリーは大きな体を縮め、
逃げようとしていたが囲まれてどうにもならない様子。
ただ、悲しそうな瞳で彼らを見上げるだけだった。
彼は殴られるまま、蹴られるまま一切抵抗しなかった。
ダッテジョリーハテイコウシテナイヨ。
アンナニオオキナカラダナラ、
テイコウシタラ
オトコノコタチナンカ
カンタンニフリキレルノニ。
ジョリーの悲しそうな瞳が、
心に突き刺さる。
悲しみに満ち、されど穏やかで澄み切った瞳…。
私は、助けに飛び出したいのに、
辞めて!と叫びたいのに、
恐怖で体が凍りついたように声も出せず、動けない。
耐え切れなくてその場にうずくまり、
目を閉じ、両手で耳を塞いだ。
もう、見ている事は出来なかった。
どのくらい時間が経っただろう?あたりが静かになったのを感じ、
恐る恐る目を開け、立ち上がる。
彼らはは去った様子だ。
ジョリーは?
私は慌てて駆け出す
すぐに彼が道端に横たわっている姿が目に飛び込んできた。
「ジョリー?」
恐る恐る近づく。
彼は目を閉じ、静かに横たわっていた。
私は駆け寄り、彼の頭を撫でる。
彼は出血もなく、
ただ眠っているように穏やかで安らかな表情だった。
コンナオオキナカラダナラ、
テイコウシタラ
オトコノコタチガギャクニケガヲスルクライナノニ…
泣きながら彼の首を撫で、話しかける。
「痛かったね、怖かったね、仲良しだった、
大好きな子たちにこんな事されて…。
悲しかったね。
助けてあげられなくてごめんね。何にも、してあげられなかったね。
ジョリーにはいっぱい、…いっぱい、あったかいもの貰ったのに…」
涙で目の前が曇り、見えない。
ただ、ジョリーの悲しそうな
それでいて穏やかに澄んだ瞳が脳裏に焼き付いていた。
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