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「お…お戯れを、ナイツフォルド様に交際相手がいないのは調査済みです。
更にはスケジュールだって把握しております。言い逃れはやめて下さい。」
流石に予測の範疇を超えていたようでリュオは静かに押し黙る。いっそ、部下と関係がある言った方がいいだろうか?
いや、彼女達の行動力を甘く見てはいけない。騎士団の業務に支障を来したら元も子もないだろう。
苦悶する様子をルルカが心配そうに覗き込むも、そんな事をやってる暇があれば援護射撃の一つや二つ撃って欲しい。
そんな時であった。リュオの脳裏にある妙案が舞い降りて来たのは…
「ルルカ、俺は異性と付き合うなら君しかいないと心に決めていた。
こうなってしまった以上は仕方ない…今から俺と付き合ってくれないか?」
何の前触れもない唐突な告白。当の本人であるルルカは思考が追い付いていないようで固まってしまっている。
沈黙に押し潰されそうになる。動悸で身体がおかしくなりそうな中、ルルカは何とか解答を伝えようと言葉を紡ぐ。
安堵の気持からか?それとも、積年の思いが込み上げたのか?一筋の涙がルルカの左頬に零れて伝う。
しかし、次に待っていたのは了承の返事ではなかった。突如、制服の襟を力任せに引っ張られたのだ。
「リュオ、ちょっと屋上までいいか?君と少し話がしたくなった。」
「ちょっと待て。いいかも何も俺の意思を尊重しろ、事後承諾じゃないか!!」
声の主はミーシェであり、否応もなくズルズルと引き摺られたままの状態で教室を後にする羽目になる。
その妙な迫力にはFC会員であるアマルは勿論、誰一人物申すことすら出来なかったのは想像するに容易いだろう。
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