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居心地が悪くなったのだろうか?
リュオは反転して歩き出し、安全柵に肘を掛け、背を向けたまま話し出した。
「納得出来ないって言った感じだね。
だったら、今ここで半年間を成果を見てあげてもいいけど…どうする?」
まるで日常の会話をするかの如く、リュオは戦闘による問題の解決を提言する。ここが学び舎であるにも…だ。
「分かった…その誘いに乗ろう。
けれども、それは君の傲慢を叩いて潰すためだ。」
この半年間…いいや、自分の非力さを痛感した瞬間から満足することなくたゆまぬ努力を続けて来たのだ。
何を恐れる必要がある。そう、自分に言い聞かせながら構えを取る。道を踏み外そうとしている友人のために…
「オーケー、それなら敗者は勝者の言うことを受け入れることにしよう?
それなら後腐れなく、お互いに何もなかったように元の関係に戻れる。」
まただ。内心、ミーシェはそう思う。近頃のリュオは何かを手早く進める為に条件を付けてくることがしばしばある。
大方、ついでに別の案件も平行して進めてしまおうとでも考えているのだろう…それだけに悲しかった。
「…私は昔の君の方が好きだった。」
その一言を最期にリュオは安全柵から離れてミーシェの方へ向き直る。だが、時は既に遅し…先手を打たれたようだ。
別に何かをされた訳じゃない。彼女の姿を見失っただけ…残されているのは生存本能を脅かす圧倒的な威圧感のみ。
「ー爆弩(バクド)ー」
前方に広く放った爆撃が何かに当たる。言うまでもなくミーシェだろうが、まだ居場所は教えてくれる気はないようだ。
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