第1話 新たな門出、野望募る学園生活

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始業の鐘が鳴って入ってきたのは、お馴染みのロベルトではなく…臨時担任のダリア=スペクトであった。 確か二年前にもロベルトが謹慎処分を受けた時も代理で入ってくれた銀髪の女教師と言えば分かるだろうか? ロベルトのように高い戦闘能力は持たないが、希少な光属性と結界系の魔法については定評がある。 それとロベルトの名誉…まぁ、そんなものはないかも知れないが、それを守る為に言っておくが今回は謹慎処分ではない。 利き足を失ったことで少しの間、王都から離れることになったらしい。行き先は鍛治の国とも呼ばれるフレイディア。 あの国は職人が多く、義手や義足を作るのには適している。もっとも、それを使い熟す訓練も別途に必要ではあるが… 「はい、リッター君。この問題…解答の方をお願いしますね。」 ダリアが黒板にて文字列を指すが、ラゼルが聞いている訳がない。四大王国に関するものなので難易度は低いのだが… 「き…聞いてたぜ。四大王国だろ。  俺達が属する王都ヴァリスタン。  和の国ヤオロズに、それから…それから…パンの国、パンデモニウム?」 教室にドッと笑いの風が巻き起こる。そして、同時にバチバチと雷撃の帯電音が響く…言うまでもない、ミーシェだ。 「この愚か者め、分からないならからと言って出鱈目に答えるな…ー雷撃魔法(ヴォルト)ー」 以前よりも遥かに強力になった雷撃魔法がラゼルの背後から迫る。だが、成長しているのはミーシェだけではない。 「見えているぞ!!」 ラゼルは即座に座っている椅子を反転させ、僅かに横に傾けるだけで雷撃を紙一重のところで回避して見せる。
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