第1話 新たな門出、野望募る学園生活

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無駄な動きを最低限に留め、椅子を乗り軽々と乗りこなす動作からラゼルもまた強くなっているのが伝わって来る。 雷撃はラゼルの後方に抜けて行く。いつも通りにダリアが結界魔法を張ったのを感じ取った時…日常が崩れ落ちた。 「ー反射障壁(リフレクプレート)ー」 何が起こったかは魔法名の通りである。ダリアが魔法障壁を用いて雷撃魔法を反射させて撃ち返したのだ。 「なっ……!?」 完全に油断していた。背後からの雷撃魔法に為す術もなく、ラゼルは椅子から転げ落ちて膝を着いてしまう。 「ちょっと趣向を凝らしたらついてこれないようだな?」 バチバチと新たな放電音が教室に響き、身動きの取れなくなったラゼルにトドメを刺そうと近付いて来る。 その様子は、ラゼルを心の底から震え上がらせた。恐ろしさと絶望に涙すら流しそうになった…その時だった。 「…属国のフレイディアと神国のアーエリアスだよ。」 親友の声が運んで来た助け舟によってラゼルは一命を取り留める。問題すら解けば誰も文句は言うまいからだ。 「属国のフレイディアと神国のアーエリアスでファイナルアンサーだ!!」 小さな舌打ちと共に放電音が消え、ダリアからも正解よとの声が苦笑いと共に漏れる。この無益な抗争は幕を閉じた。
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