第1話 新たな門出、野望募る学園生活

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その首を狩ったのは、援軍であるはずの後方からやって来た霊峰騎士団…それも役職のある小隊長であった。 まるで銃弾のように特攻を続ける友軍の小隊。裏をかかれたことも手伝って同規模であったはずの小隊は壊滅する。 指揮を取っていた小隊長を始め、大半のものが唐突に戦死を遂げた。残されたのは若い騎士…それも僅か三名だった。 「ど…どうして、貴方達が…賊を討伐すると息巻いていたじゃないですか?」 彼等が噂の霊峰騎士団の残党なのか?だが、そうであるはずかないのだ。彼等とは同時期に首都から出たのだから… そもそも、信心深い霊峰騎士団が民を襲う残党になるのなどあり得ない。賊の偽装だと誰もが思い込んでいた。 それならば、離れている間に何者かに乗っ取られた?これも違う…彼等とは確かに少しの間、連絡が取れなかったのは事実だ。 噂の賊に討たれたのではないかと心配したが…その様子もない。彼等の顔触れも覚えているので間違いようがない。 そこで一人…また、一人と…馬上から振り下ろされた槍で心臓を貫かれて生き残った仲間が絶命していく。 「待ってくれ、俺は死にたくない。仲間になれと言うなら……な…る。」 彼等は聞く耳持たぬと言ったようで、またしても馬上から槍を振り下ろして最後の一人の心臓を貫いた。 その様子を見届けた友軍である霊峰騎士団の瞳は硝子のように冷たく…そして、無機質で不気味さすら感じられる。 そして、号令すらかける様子もなく各々の判断で散開…方向もバラバラで蜘蛛の子を散らすように消えていく。 こうして、国境地域からは人の気配が完全に消えた。残された異様な空気はやがて薄れ…純然たる悪意のみとなった。
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