第2話 暁の終焉…繋がれた命

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「ー疾風魔法(ウィン)ー」 巻き起こる旋風を前に頭痛に悩みながらも冷静に対処する。リュオが選んだのは右足を突き出しての一点突破。 抵抗を最低限にして放たれた蹴りは、旋風で作られた障壁を突破。ラゼルの胸板に痛々しく突き刺さるも… 「これしきで…退けるかぁぁぁ!!」 自らを対象に自爆覚悟で神話級にも及ぶ荒れ狂う暴風を召喚。ラゼル自身は無風である中心にいるので被害は小さい。 だが、言うまでもなくリュオは違う。ほぼ直撃を受け、弾き飛ばされそうになったところで敢えて身体の力を抜く。 風の方向に逆らうことなく、流すことで損傷を最低限に抑え…凛と立つ。損傷は酷いものだが相手には悟られない。 「その威勢がいつまで保つかな?」 ラゼルの繰り出す攻撃を紙一重で躱す。あるいは受け流し、ある時はその身で受けて反撃の時に備えて力を蓄える。 …不思議と恐怖はない。既に自分が勝つ映像は見えている。後は来たるべきその時に戦いを導いていけば良い。 そんな技の応酬が何十、何百と続き…二人が満身創痍なった時…ついにその時はやってくる。 「これで終わりにしよう。」 ラゼルは初手同様に渾身の力を込め、ポールアクスを降り下ろす。今度はリュオは打ち合わずに後ろへ飛んだ。 刹那、大地が砕けた。大地だったものの欠片が両者の間を遮るように飛散するも二人は小さく笑っていた。 遮蔽物のある場所でこそ、リュオの闘法は本領を発揮する。そして、それを破ってこそラゼルの雪辱戦にもなるのだ。
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