第2話 暁の終焉…繋がれた命

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全てが繋がった。この少年は直に理不尽な二択を迫られるだろう。そして、それが少年にとっての転機となる。 そして、世界の法則は崩れる。死者が黄泉還り、たった一つの思いを叶えるために怨敵の前に立ち塞がるのだ。 死者は歩む。鉄の螺旋を一段、また一段と踏み抜いていく。その度に憎悪が踏み固められ…体内から噴き出す。 「世界なんざどうでもいい。ぶっ壊れようが滅びようとも構わん。  だが、俺の下僕をいいようにしてくれた貴様だけは楽には殺さん。」 魔王の怒号と共に黒き靄が晴れる。現れたのは、リュオのよく知る人物…魔法学園の頂点であるケルブであった。 本来ならば、疑うべき状況ではある。だが、傍らに倒れる重症のロベルトをみれば察することは容易であった。 「我は従えよう…創世の始祖龍。」 馬鹿げた量の精霊力が大地を侵食していく。漆黒の鎖を伴う使徒召喚は明らかに通常の術式から逸脱していた。 地の底から覗くのは幾層にも積み重ねられた立体型魔法陣。現れたのは、白銀の間欠泉を思わせる強大な使徒。 天井はあたかもなかった様に崩され、螺旋階段も同様に崩壊。全ては銀色の光に呑み込まれて消えていった。 「…融合、召、喚ッ!!」 魔王の咆哮と共に銀色の世界が引き裂かれていく。凄まじい力の奔流の中心には異形の姿に変わり果てる。 黒を基調とした極彩色の翼。そして、身体の部位はリュオを苦しめた聖獣を模した形となって強化されている。 脚部は白虎の毛皮に包まれ、両肩はゴツゴツとした青龍の鱗の鎧。頭部は悪魔の様な巻角で仰々しく飾られる。
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