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「何を甘いことを言ってるんだ?
これは戦争なんだよ、そんな甘事ばかり言ってると…足元を掬われるよ。」
リュオは松明をブン取ると躊躇することなく前方に向かって放り投げる。
松明は何度も弧を描きながら飛ぶ。それを見る蛮族達は様々で…屈強な戦士を始め、女性や子供の姿もあった。
次の瞬間、湿地帯全体に大火災が発生した。背後に汚染地域がある以上、蛮族達は騎士達のいる前方に突き進む。
「全軍、一斉掃射ぁぁぁッッ!!」
待ってましたと言わんばかりにリュオの怒号が響き、騎士達は構えた弓矢を一斉掃射に掃射する。
統率の取れない蛮族達は悪戯に数を減らしていく。何とか突破する者もいるが、爆撃の魔法によって討ち倒される。
やがて、正面突破は無理だと悟った蛮族達は決死の覚悟で背後に位置する汚染地域内に撤退を始める。
汚染地域内を突破するのは不可能だが、危険の少ない区画を通過してアーエリアス領に出れば生存の可能性はある。
「ナイツフォルド団長、追撃は?」
松明を持っていた女性騎士が問う。その表情には心なしか怯えが見えた。
「深追いはしないよ。
生産性のない人種がヴァリスタン領からいなくなる…それで充分だろう?」
今度は明らかに引いていた。リュオの発言は自国さえ良ければ、他国は知ったことではないと言い切ったのだ。
こうして、10倍近くの戦力差をひっくり返してリュオの部隊が勝利したのは瞬く間に王都に知れ渡ることとなった。
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