~prologue~

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ゴポリという水音が暗闇に響き、大きな水泡が水面に向かって浮上していく。 それを皮切りに、ゴボゴボと断続的な水音が響いて無数の水泡が浮上していく。 不意に暗闇に一筋の光が照らされる。 そこには高台の上にいた大柄な蛮族がガラスの容器に入れられていた。 蛮族の男は自分の様子を確かめる。容器に水が張られているので族長の証である顔料は消えている…腰巻もない。 つまり、蛮族の男は生まれたままの姿で容器の中で生かされている。では、次にどうしてこうなったのかだ? 蛮族の男が掘り起こした最期の記憶は、黒づくめの人物が持つ金色の大太刀が振り下ろされたところで終わっていた。 大太刀が振り下ろされた部位に触れると縫合された跡があった。踏み込みが浅かったのか生き永らえてしまったようだ。 「やぁ、ワルカ族の族長殿。気分の方は如何なるものカナ?」 現れたのは黒に一筋の銀を挿した頭髪を持つ女性。白衣に男口調ではあるが、身体のラインは女性そのものである。 「あの黒づくめのヤツ、ヴァリスタンの暗部だよ。悪いヤツに騙されたネ。」 もし、目の前の人物の言うことが本当であれば、蛮族の男はヴァリスタンに良いように踊らされたことになる。 だが、たかが一部族を潰すために暗部まで送り込むのは何故だ?まさか、新団長の宣伝というわけでもないだろうに… 「王国に目にもの見せてやらなきゃネ。  良いアイディアがあるんだけど、僕に協力してみる気はないカナ?」 銀の混じった黒髮の女性は無邪気に復讐を提示する。まるで、子供が遊びを決めるかのようなノリの口調だ。
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