元の世界へ

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「その願い聞き入れました。今からあなたの願いを叶えましょう。あなたに向けられた願いとともに。」 キゼは穏やかに笑った。 祝詞(のりと)が読まれる。 私は黙って聞き入っていた。 キゼによって読み上げられる祝詞は風に乗りこの神社を包み込むのだろう。 短い祝詞が終わった。 「君はこれで帰れるよ。鏡を使うんだ。鏡で自分を映し出し自分に触れる。そうしたら元の世界に帰れるよ。」 キゼは結局最後までにこにこしていた。 私はシロの方に向いて歩き出す。 綺麗な目だ。どこか見覚えがあるような。 気のせいだろう。 「もうこんなとこに迷い込んだらダメだよ?」 何故か一気にシロが年上のようになる。 「迷い込まないよ。」 「もうお参りもいいから。早く帰った方がいいよ」 シロはそう言って笑った。
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