397人が本棚に入れています
本棚に追加
相変わらず不安そうなロックさんを慰めようとなんとか言葉を探してみる
だけどこういう時私はとことん喋るのが下手だ
しゃべるのうまかったことは一度もない気もするけど
「そうだけど、まぁほら、時間が経ってみないとお互い何がどうストレスになっていくのかもわからないから、そんなに先回りして心配しないで欲しいなぁ」
「すみません」
「謝らないで。怒ってるわけじゃないんだから」
「すみ...あぁ、えっと。はい分かりました」
「それでよし」
小さく笑ってみせると、ロックさんの肩の力が少し抜けた気がした
本当に今彼は、安心したくてしょうがないようだ
そうなると私が不安がったり余裕がなさそうにするのはまずそうだ
何も気にしてません、いつもの私ですっていうのがベストかな
「ロックさん」
私の手を握る彼の手を、そのまま口元まで引き上げる
そして何の抵抗もなく引き上げられたその手の甲に、私は額を押し当てた
「好きだよ」
ロックさんが息を呑むのがわかった
背中に感じる熱の温度が上がったきがする
あーこんなにわかりやすく喜んでくれるのか
可愛いなぁ
変にニヤニヤしてしま
「...冬、こっちを見て」
ぎゅん
やばい
焦りと緊張感とトキメキが一気に心臓を圧迫した
なんとか顔を作っていそいそとロックさんの方に向き直る
ロックさんは顔を少し赤くしていた
そして困ったように眉尻をさげ、目を細めて私を見てくる
「もう、一度いいですか」
「えっ」
顔に熱が集まる
こんな改まって言わされるとなるとすごく緊張してしまう
ああいやでも、ちゃんと言葉にすると言った矢先だ
恥ずかしくて言えませんなんてできない
「す、す...す、きです」
お願い帰ってきてさっきの謎の余裕
そしてどっかいって羞恥心
もっと余裕そうに「好きだよ」といたずらっぽい笑顔でいうのが正直理想ですが現実は実に厳しいと今日も痛感する
なんとか言葉を吐きだして思いっきり目を背ける
ロックさんは優しく笑ってくれた気がする
その直後、私を引き寄せて、抱きしめる
ロックさん、あったかい、すごく
「私も好きです、冬」
「うん...」
満足そうに笑う彼を視界の端に捉えて
私は妙な安堵感に包まれる
そして適度な暖かさが加わり
私の意識が微睡み眠りの海に沈んでいくのは、あっという間だった
最初のコメントを投稿しよう!