やっぱり彼は、異形だった

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行ってきますといつもどおり部屋を出る私を見つめてきた彼のあの目 縋るような、だけどそれを必死に堪えるような眼差しで なんとか笑って紡いだ弱々しい「行ってらっしゃい」 その全てが、私の心を重くした 私はとんでもないことをしていて 彼を物凄く傷付けていると感じさせる おかげでため息が止まらない バイトの友人らとの会話も弾まない 意識がその全てに持って行かれて目の前のことに集中できない あー情けない早く帰らないと一刻も早く家に帰ってそれで... 私はどうすれば今のロックさんの力になれるんだろうか こういう時相談できるのは仁ぐらいだ  雪斗君は都合よく私の目の前に現れて相談相手になってくれるわけがないし あー、だけど 仁に会いにいくのも、やっぱり違う気がする 今のロックさんの状態的に、ダメな気がする っていうか本当に変な刺激を与えたくないし... ロックさん、仁の匂いわかっちゃうもんなぁ何か あいついつもいい香りするイメージしかないんだけど っていうかそんなのはどうでもいいとしてだ 私のこの不安は一体誰に相談すれば?仁以外に見つからないんだけど? あぁ嫌でもやっぱりだめだ仁に頼っちゃ 「よぉ」 声がした 聞き覚えの物凄くある声が あまりにびっくりして顔を上げれば、心の中で今一番会っちゃいけないレベルだと思ってたやつがそこにいる 「すごいシケた面してるけど大丈夫?」 「...い、いらっしゃいませ」 なんとか用語を吐き出し慌てて目をそらし、目の前に置かれた今日の夕食らしき者たちのバーコードをスキャンする 「おい返事ぐらいしろよ」 「はいはい」 「雑」 もう無視だ無視 なんか私の心がざわざわしてる 物凄くしちゃいけないことしてる感じ やましさがすごい 大したことないと思うんだけどさぁ?! そのあとも仁の言葉をなんとか流して会計を終了させ、パッと時計を見ればもう上がる時間なことに気が付いた そして思わず仁を見た もう反射だった 多分このタイミングで来るって、それはもう にやりと仁が笑う ああああああこいつ確信犯だ上がるまで待ってる気だなんて間の悪いやつなんだ!!! 胃がキリキリしはじめた
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