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都会の喧騒から電車に揺られ揺られて一時間。
ガタンゴトンと進むうち、いつの間にやらビルの谷間が深い緑の山あいに大変身。
窓を開けたら深呼吸。
ひとつ、ふたつ。
頬を撫でる春風と、澄んだ空気に心が洗われるようでしょう?
無人の駅で降りたなら、バスに乗り継ぎ三十分。
お地蔵様と大きな鳥居がお出迎え。
あと少しの辛抱です。
大きなクスノキ、見えました?
御名答、その温かくて何にもない停留所です。
空き地と空き地の間の道を・・・・・・
え?
どこもかしこも空き地のよう?
馬鹿言っちゃいけません。
お家がぽつぽつ見えてきます。
八百屋の十兵衛さんを左に、喫茶店の来夢さんの角を右に曲がったら、小さなお寺が見えるでしょう?
キンモクセイを辿って横の小路に入ったら・・・・・・
遠路はるばる疲れたでしょう、『招き堂』はすぐそこです。
金を呼ぶ縁を呼ぶと評判の猫たちが、あなたのことを待ってます。
ところであなた、人ですか?
いやなに、どうも珍客が多いもので。
ほら、今日も軒先で聞こえてきました、にゃあにゃあと。
それでは熱いお茶を用意して、のんびりゆったり待っています。
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