51人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「さよりちゃんの顔ですよ」
晴天を眩しそうに仰ぎ、呟く福之助。
空には白い雲がふわりふわりと浮いている。
「さよりの・・・・・・顔にゃ?」
「はい、そうです。さて、早速思い出してもらいましょうか。ほら、あの雲なんてどうです?さよりちゃんの・・・・・・あれなんて言いましたっけ。ああそうそう、ポニーテールに見えてくるんじゃないですか?」
「ふにゅ・・・・・・そう言われればそんな風に見えてくるにゃ」
あっちの雲はイワシに見えやしねぇか?
ふわふわ空を泳いでやがる。
「それじゃあひとつ、お尋ねします。大好きな猫じゃらしで遊んでくれてる時のさよりちゃんは、どんな顔してました?」
「ふにゅー・・・・・・」
ハチクロのガキは短ぇ腕を組み、首を傾げてさよりの雲を眺めてやがる。
イワシは骨になっちまった。
俺がたらふく食ったのよ。
「にゃっ!」
おっ。
ピンときたか?
さっさと聞かせろ。
さよりはどんな顔してたんだ?
「笑ってたにゃ!そりゃあもう楽しそうに笑ってたのにゃ!!僕がじゃれると、さよりも何だか嬉しそうにゃの!」
「なるほど、笑顔ですか。それじゃあ次の問題です。『ねこまんま 極上ささみ』をくれる時の顔はどうでしょう?」
ガキの好物だな?
「それはすぐ思い出せるにゃ!僕が美味しそうに食べるのを喜んでくれるから、ニッコニコなのにゃ!!」
「さよりちゃんはいつも笑顔なんですねぇ」
「そうにゃ!」
「じゃあ最後にもうひとつ。『ねこまんま かつお』をくれた時のさよりちゃんの顔です」
「にゃっ・・・・・・!?」
ほれ。
早く思い出してみろ。
お前の嫌いなものを、さよりはどんな顔してよこしやがったんだ?
「かつおの時は・・・・・・意地悪な顔してたにゃ!!」
「本当に?」
「本当にゃ!そりゃあもう意地悪な顔で僕のことバカにして・・・・・・ふにゅ・・・・・・?はにゃ・・・・・・?あれれ、違ったのかにゃ・・・・・・?」
最初のコメントを投稿しよう!