変死体とストーカー

2/120
575人が本棚に入れています
本棚に追加
/680ページ
    斉上の乗っていたのは事務所のものらしい白いバンだった。  助手席に座った漱子は窓際に頬杖をつき、外を見ていた。  手には管轄の署に場所の確認をしたときのまま、携帯を握ったままだった。 「まっすぐ現場に行って大丈夫か?」  さすがに少し遠慮がちに斉上が問う。 「遺体の確認は向こうの両親がしたらしいけど、あそこの署の友達は現場に行ってるみだいだから」 「じゃあ、榊原の親も居るのか?」 「もう帰ってるでしょ。  私とは顔を合わせたくないだろうから」 「どうして?」 「私のせいだからよ。  知ってるんでしょ?」  挫折を知らない人間って弱いわね、と漱子は言った。
/680ページ

最初のコメントを投稿しよう!