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「なんであそこからってわかったの?」
「手に擦過傷があった。
橋にしばらくぶら下がっていたようだな。
鑑識が橋の下の方から榊原の皮膚の一部と思しきものを見つけたようだ」
話し掛けてきた調査官に榊は答える。
「死亡推定時刻は、昨夜の午前一時から三時。
酔って歩いてて落ちたのか、橋にしがみつこうとしたようですが、手が外れたんでしょう。
死因は心臓麻痺。
昨日の水はかなり冷たかったでしょうから、酔って膨張していた血管が一気に収縮して」
そこで榊は言葉を止めた。
漱子を振り返る。
「榊原は酒癖悪かったか」
「特には――」
ま、性格が常に悪かったからわかんないけど、と心の中で付け加える。
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