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漱子は走り出した車の中で、あーあ、と溜息を洩らす。
「さすがに通夜と葬儀は行った方がいいかなあ」
「通夜は今夜か?」
「どうだろ。
解剖が終わったらするかもね。
てか、榊原が早めに済まさせたがってるみたいだけど」
「どうして?」
「不祥事は早く終わらせたいからでしょ」
「不祥事って……息子だろ?」
「そんなもんよ」
自分の家も同じようなものだと暗に告げる。
「ま、どっちにしても、向こうも私とは顔合わせたくないだろうから、さっさと挨拶だけして帰ろっと」
斉上はハンドルを指で叩きながら訊いてきた。
「で、結局あれか? 事故なのか」
「そうみたい。
酔って足を滑らせたんですって。
此処も榊原のうちから近いからね」
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