かたぶつ姫

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そう。長らく私は、女友達の間で浮いた存在だった。 物心ついた頃から〝人を好きになる〟という感覚が、よくわからなかった。 それは中学生になっても、高校にあがっても、変わらないまま。 友だちに彼氏ができ、頬を染めて色っぽい話してるのを聞いても、全く興味が湧かず、共感も抱けない。 きっと自分は皆と違って、どこか感覚のズレた、子供っぽい生き物なのだろうなと思ってた。 そりゃちょっと格好いいな、なんて思う異性も、それまで全くいなかったわけじゃない。 だけどそんなのだって、周りの子たちがキャアキャア騒いでるの聞いて、あぁ、まぁそう言われるとそうかもね、などと思っていたくらい。 なんだかテレビに出てくるイケメン俳優を眺めて、ドキドキするのと変わんない感じで、リアリティなんて全然なかった。 どうやら女として大事な感覚が抜け落ちてるらしい。 〝試しにとりあえず、つき合ってみれば?〟 そんな親切なアドバイスをくれる友人もいた。 だけど告白された時の、相手の真剣な表情を見ると、そういう気持ちに答えるのは、私には絶対に無理な話だと、ひいて考えてしまう。 ちょっと優しそうだから、いいかも。そんな気軽さでつき合うなんて、相手に対して失礼だろう。 手をつないでる姿だって想像できないのに、上手くいくはずなんてないよね。という気分に、いつもなるから、〝つきあって〟と言われるたびに断っていた。 まぁ、それならそれでしょうがない。 べつに彼氏なんていなくても、生きていけるし。
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