妖精達のある一日

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かくれんぼが始まった 一斉に皆が大きな声を出して走ってゆく 鬼になったまだ小さな靴を履いた妖精は 黄色い森の入り口に立っていた 黄色い森の右側は小さな池の透明な水が囁いている 黄色い森の左側は見上げるほどの大樹が両手を広げ微笑んでいる 小さな靴を履いた妖精はどちらに行くか迷っていると 誰かに背中を押されたような気がして暖かい樹々の間を歩き始めた 樹々からこぼれる日差しを浴び 疲れなど知らないように歩き続ける 足先に痛みを感じふと見ると片方の靴が無くなっていた 驚き振り返ると今まで歩いてきた道は暗闇に包まれ全く見えなくなっていた 妖精はしばらく悩み引き返し始めた 暗闇に手を伸ばし転ばぬようにゆっくりと歩く 何かにつまづき声をあげると小さな靴が光っていた 大切な靴を拾いトントンと履くと 妖精はまた戻ってきた道を引き返した 不安にならぬよう大きな声で歌いながら探し続けた 一人一人仲間を増やして賑やかになってゆく それは遥か遠くのある森の妖精達の一日 妖精達の笑い声が今日も森中響き渡っていた
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