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「まさか、ここを使う事になるとはな」
「しかし、あの男……トウマの詰めが甘かったようです。この通り、兄上と私は生き延びました。後日再起を果たし、レナ王女共々討ち取りましょう」
「そうだな。あいつらは絶対に許さん。いつか必ず殺してやる」
息を切らしながら隠し通路を走り続け、やがて梯子の架かった出口へと辿り着く。
我先にと梯子を昇り、勢いよく外に出るドイル。そこには、予め伏せていた兵士が待ち構えていた。
「待ってたよ。もう観念しなさい」
「何だ、お前達は! 何故ここいる!? 私は軍師ドイルだぞ、さがれ!!!」
出口から聞こえる声に反応し、サムは梯子を昇らずに来た道を戻ろうとする。
それを阻むべく、クラスと側近兵が槍を構えた。
「クラス、裏切ったか!」
「私は元から国王様の配下だ。裏切ったとは心外だな」
「貴様、トウマと繋がっていたのだな。全てを計算し、ここで私達を捕えるべく誘導する策など、あいつ以外に考えられないはず……くそっ、ここまでか」
ドイルとサムはクミに捕えられ、南門へと連行される。
トウマの策略によって、レナは一人として犠牲を出さずに心国攻略を成し遂げた。
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