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気にする必要がないと思っているのに、それなのに何故、脳裏をよぎるのは謙也や、由紀の母親の言葉なんだ。
ーー変だと思わなかったか?事故ってこと。
ーー馬鹿よね、あんな雨の日に。
最後によぎったのは、夢の中の由紀の言葉だった。
ーー貴方の知らない真実。
僕は何がしたいんだ。今更、何を知ろうが関係ない、はずだ。
パキパキッ、ガサガサ。優は後ろを振り向く。
なんかの動物か…。一応山の上の公園だ、野良猫や狐、熊などいてもおかしくはない。
「熊だとしたら、生きて帰れないだろうな」
優は日が沈んでゆくのを、静かに眺める。沈みゆく日は、紅い光で檜山を一気に包み込んでいく。優にはそれが、幻想的なものに見えた。
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