プロローグ

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 少女が語りかけてくる。 「貴方って、いつも冷めた目をしているよね」  別に冷めた目をしているつもりはない。ただ漠然と世の中がつまらないと感じているだけだ。冷めた目をしていると言われたのなら、きっとその感情が表に出て、冷めた目になっているのだろう。  少年は答える。 「そう見えるなら、そうなんじゃない」  少女は質問を続ける。 「なんでそんな目をするの?」 「つまらないから」 「何がつまらないの?」 「世の中」 「なんで世の中がつまらないの?」  なぜ世の中がつまらない?――考えたことがなかった。ただ必然とつまらないと思うだけであった。  少年は黙る。 「……」 「つまらないと言われれば確かにそうかもね。でも貴方の知らない真実もあるよ」  ーー真実?  少年は黙って少女の話を聞く。 「まぁ、それを知って面白いと感じるわけではないかもしれない。けど少なくともつまらないとは思わないんじゃない?」  少年は黙り続ける。 「まぁいいわ。そろそろ起きる時間よ…優」  
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