6人が本棚に入れています
本棚に追加
優と謙也は一言も交えず、淡々と歩いている。
気まずい…。仲が悪いとかそういうんじゃないが、話すのは元々好きではない。
話を持ち出してきたら話そうと、優が思った矢先に謙也が口を開いた。
「由紀が死んでから、もうすぐ1年経つよな」
ピンポイントな話題過ぎて嫌になる…。
優は答える。
「うん、そうだね」
「お前はもう平気なのか?」
謙也は聞きづらそうに、そして悲しそうな顔で優を見た。
「平気だよ」
「そっか。ならよかった」
嘘だ。優は無理をしている。彼女が死んだんだ、1年経つだけで平気なわけがない。
それでも謙也は追求することはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!