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少し間が空いてから、謙也が聞く。
「でもさ、なんか変だと思わなかったか?」
優は聞き返した。
「なにが?」
「事故死ってこと」
「別に。警察が事故って判断したんなら、事故だよ」
嘘をついたわけではない。確かに多少気になるが、警察が事故と判断したからそう思うしかない。
謙也が何か言いたげな顔をしていたが、そのまま歩を進めた。
学校に着き、教室に行き、授業が始まる。先生が教科書の127ページを開いてという中、謙也は教科書さえ出さずにいる。
優はいつも強がる。何もないフリをする。長い付き合いの俺にさえ、自分を出してこない。そう思うと悲しくなる。
「ハァ…」
謙也は溜息をつく。
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