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「連れてって。置いてかないで」
いつもどこか先ばかり見ている、彼の視線がずっと気になってた。
クニヒロを見ると、切なくなる。
たぶん、それは、きっと。
近所の富樫さんの家の犬のクルが実は、老犬でさい先、長くないだろうとみんなが知っていたことと同じくらい、儚かった。
触れながら、クルの身体の終わりを知っているような気になる。
あたしたちを置いて、先に行ってしまうとわかっているだけで、切ない。
クニヒロだって、 先を行く。ひとりで行く。あたしを。ううん。きっと、周りの人、全てを置いて行くんだ。
ひとりで、どこまで行くの。
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