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三年生が引退した後の夏休み、部活が終わり、バス停に降りると「今、帰り?」と、後ろからクニヒロに声をかけられた。
「あ。うん」
「なんか話すの久しぶりだな」と笑われた。
「そうかもね」
「なんか、雨降りそうだな」と、歩道を一緒に歩いていると、足元に小さなしみがぽつぽつと出来始める。
言った瞬間に雨が降り出してしまった。
「走るか」と、小走りで近くの公園まで行った。
屋根の下にベンチがあったので、そこに二人で飛び込んだ。
「やられたな」と、クニヒロは笑った。
「え?」
「雨。急に降るとはな」と、遠くの空を見て、あっちは、絶対降ってないよな。すげー晴れてるしと、言った。
「うん」
「やみそうにないな」
「だね」
「まだ走れるか?」
「え?うん」
「傘、貸してやるから、家まで走るぞ」と、背中を丸めて夕立の中、また走った。
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