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クニヒロの家に行くのは久しぶりだった。たぶん、小学生の頃以来だと思う。
守護霊みたいな人と撮った写真も扇風機も置いていなかった。
「はい」とバスタオルを手渡された。
ぴったりと肌に吸い付いたブラウス。自分でも中の下着が透けていてることに気がついていたから、拭きながら肩にかけて隠した。
「すっげー。びちょびちょ」とあたしを見て、馬鹿にするけどクニヒロだって変わらない。
「お前、着替えてったら?」
「えっ?」
「シャワー使ってもいいし。Tシャツくらいなら貸せるし」
「誰の?」と、思わず口にしていた。
「誰のって、俺のだよ。でかいか?」
「……でかいよ」
「わかった。おふくろのは?お前でも着れるだろ」と、奥の部屋へ行った。
「クニヒロは?」
「ん?」
「浴びないの?シャワー?」
「あとでいいよ」と、黒のTシャツを渡してきた。
初めて使うバスルーム。熱いお湯に打たれたせいか、夕立で濡れたことなど忘れてしまいそうだった。
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