3.

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だけど、クニヒロから『飯、食いに行くぞ』というメールがくるまで、時間はかからなかった。 駅前で待ち合わせをしたのは、金曜日で、仕事帰りのクニヒロはスーツだった。 一軒目は、彼が仕事終わりに良く来るという居酒屋で二軒目はショットバーだった。 明日は、休みというから、彼はお酒のペースが速く、よく呑んだ。普段はどうか知らないのだけれど、強いことは確かだと思う。 「帰るか?」と、ショットバーを出た頃、クニヒロは時計を気にして言った。 「帰るの?」 「まだ呑み足りない?」 「うん。足りない」 ちょっと呑みすぎたかもと思う。気分が良くなっていて、だけど帰るには、まだ足りない。 「いいけど。次、どこ行く?」 訊かれて、「クニヒロの家」と、あたしは答えていた。 「俺の家?」 冗談だと思ったのか、彼は笑った。 だから、さっと手を挙げて、近くに停まっていたタクシーをこっちに呼んだ。 「本当に来るのか?」と言うから、うん、と言って、開いたドアに乗り込んだ。 「参ったな」と、呟いたけど、クニヒロも後部座席のシートにもたれかかるように座った。 「セイナ、酔ってるだろ?」 「まだ酔ってないよ」 「顔は変わんないけどさ」 「だから、酔ってないし」 クニヒロは、最近付き合った彼女と別れたばかりと言っていた。 軽く遊んでる女の子が何人かいるけど、誰とも付き合う気はないとも。 それなら、せめて、あたしは……。 彼の隣で願っていた。
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