3.

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ひとり暮らしというけど、あまり生活感の感じられない部屋だった。 良く言えばシンプル。悪く言えば殺風景。 辛うじて、テレビの横に置いてある観葉植物の植木が、部屋を明るく見せてた。 「なにもないね」 「寝るためだけに帰ってるだけだからな」 ビールでいい?と訊いて、冷蔵庫から缶ビールを取り出した。 「こんなつまんなそうな部屋、人呼べなくない?」 「失礼な奴」と、笑って、あたしの隣に腰を落とした。 「だって、そうじゃん」 「呼ばないよ」 「彼女は?」 「まあ彼女は別」 「他の女は?」 「呼ばないな。家とか、急に来られるの嫌だし」 そういうタイプばかりと遊んでいるのか。 どちらかというと、積極的な。 「クニヒロ、未だに、誰にも本気になったことないでしょ?」 「なにそれ」 「言ってたじゃん。誰も好きになったことないって」 「そんなこと言ったか?」 「言った」 「いつ?」 「高校のとき」 「言った憶えない。よく憶えてるな」と、笑った。 部屋を見渡せど、女の子の荷物とか、忘れ物とか、連想させるものもなかった。 だからか、冷えたビールが美味しく感じた。
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