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それから、高校の頃の話とか、ミニバスで一緒だった男の子が結婚するとか、そんな話をした。ビールは続けて三本空けた。
「セイナ、けっこう呑むな」
「そうでもないよ」
「俺より、強いな。絶対」
そう言って、クニヒロも缶ビールを呑む。
「クニヒロ。酔ったら、どうなるの?」
「酔ったら?どうしようもなくなる」
「なにそれ。あれか。酒のあやまちとか多いんでしょ?」
「酒のあやまち?ないことはないけど。そこまで酔うことそんなにない。お前こそ、大丈夫なのか?」
「なにが?」
「俺だからいいけど。男の家に行きたいとか言うの危ないぞ」と、言った。
「あたしは、クニヒロと違って、酔って失敗なんてないからね」
「はあ?本当か?」
「本当だよ。よっぽどの覚悟がないと、男の家に二人きりになんてならない」
「へえ」と、疑わしいのか、笑いを含んだ顔。
だから、今、ここにいるんだよって、大きい声で言いたくなった。
酔って失敗なんて、今までないけど、どうせ失敗するなら、ここでクニヒロとなら、いいかもしれない。
失敗にさせないで、受け入れて欲しい。
「ねえ、クニヒロ」
クニヒロに寄り掛かった。
「ん?」
「今日、泊まってもいい?」
「いいけど」さらりと答える。
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