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「隣にいてもいい?」
ごくんと彼の喉から、呑みこんだ音がした。
「なに?どうしたの。お前?」
クニヒロの隣にいると、どうして、いつもこんなに哀しくなるんだろう。
クニヒロがいつも、哀しいのかな。それが伝わってくるのかな。
なら、せめて、哀しさが融合してしまえばいい。形を変えればきっと、気が紛れたりするものじゃない。人間の感情なんて。
そのまま、彼を見上げた。
「クニヒロ……あたしね」
そう言いかけたのに、クニヒロは、そういえばさ、と腰をあげた。
ふっと出来た空間に寂しくなる。
「この前、これ見つけたんだ」
そう言って、手元にあるのは小さな紙の包みだった。
受け取ると、あまり重さもない。
「なにこれ?」
「空けてみ?」
「うん」
セロハンテープをめくる。包みを開けて箱の蓋を取ると、中にあったのは、ドクロの指輪だった。
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