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「かっこいい先輩がバスケ部にいるんだって」 高校に入学して、バスケ部の見学に行くときのことだった。 バスケ部に入部希望の斜め前の席の女の子にそのことを教えて貰ったのは。 「かっこいい先輩?」 「二年生なんだけどね。もう見たかな?」と、体育館の中に一歩踏み入れる。 女バスの先輩が集まっている輪。その奥に目を向けると、男バスの人達が集まってる。 クニヒロがいた。 中学校でも、クニヒロもあたしもバスケ部だったし、ここに入学したことも知っていた。 家から近くて通いやすく、平均よりちょっと上くらいの偏差値。だからか、同じ中学校の人は何人もここに進学してる。 だから、偶然と言う程でもないし驚かなかった。 「あの坊主の人の隣に立ってる茶色い髪の先輩だよ」と、小声で彼女が教えてくれると、あたしの視線に気づいたみたいで、交わった。 一瞬だけ、驚いたみたいだった。ゆっくり手を挙げて振る。「セイナ」と言って。 駆け寄ってくると、「高校同じだって、聞いてた」って、笑いかけて来た。 クニヒロが中学校を卒業してから、一度も話してはいないし、見かけることも数回くらいしかなかった。 「なんだ。知ってたんだ」 「バスケやるんだろ?」 「うん」 首元にはもうストラップはぶら下がっていなかった。
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