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―王城 Ⅱ―
2度目のセラムからの伝達は16時半ば頃届いた。
楔は問題ないとのことだったが、補助石の保つ期限が、アークの区切った1年に満たないという。
その後、この日最後、17時半ば頃に、デュッカから手紙と荷物が届いた。
手紙にはまず、ルークが尋ねた礎の要石については、問題ないとの答えがあった。
礎の要石は、結界という、力量の使用量があらかじめ決められている術があるので、個々の要石では、ロアは結界に合わせて調整し、力を発しているそうなのだ。
このとき、結界石が不完全体だと、同じ力を発しているつもりで過不足があるが、最近の巡視でこれを改めたため、問題はなくなったのだそうだ。
一方補助石は、補助石自体の値の限界まで、完全体値で使っているだけなので、補助石の値が要石ひとつに対して不揃いな現在、問題が生じているとのことだった。
補助石には、要石のように、結界などの構成すべき術がない。
使用を制限する、一定の力量を必要とする術が。
要石を補助するというのは、ひとつの棒が倒れるのを、複数の方向から、そこにある力に任せて止めているのに似ている。
少しくらい力配分が違っても、複数の方向から、大体同じくらいの力が加わっていれば、中央はまず倒れることはない。
ただし、より強く力の加わっている部分は、傷付き、じきに倒れる。
補助石の値は要石を支えるのに充分なため、設置してある彩石をそのまま使うべきと判断したが、改めるにはミナの誘導が必要だろうとなっていた。
『きっちり同じ分量で力を発することは不可能ではありませんが、慣れるまで、時間が必要なのです』
そう書いてあった。
ルークは、うーん、と悩んで、その判断を認めることにした。
結界石になる彩石は、彩石の泉に数え切れないほどあり、また、出現もするだろう。
だが、結界石を判定することは、今のところミナにしかできない。
現在の結界を完全な形にして長い時を稼げば、その間に結界石だけ判定して保管しておくことができ、それは現状に適した判断だと思えた。
「どう?ミナの判断は適切?」
まだ政王執務室で仕事をしているアークが聞き、ルークは頷いた。
「そう思うよ。僕の方も自信ないな、全部はミナや前の判定師が判定したものじゃないから…」
「レグノリアは大丈夫なの?」
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