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まるで猫のような少女が、唐突に放った衝撃的な言葉。
「ちょっとちょっと?あんた何ナギんとこ居座るみたいに言ってんの?」
それに激しく反応したのは、まゆだ。
「なんにゃ?その反応。もしかして嫉妬かにゃ?」
「なっなあ!?どうしてそう思うの!?」
「にゃ~。認めにゃいのは、見苦しいにゃよ~。ニヤニヤ」
「あぁあぁあぁ!?にゃーにゃーうるさあぁあぁいっ!?あとニヤニヤと口に出して言うなぁあぁあぁあっ!」
「にゃ~。お前うるさいにゃ。もう少し音量下げてくれないかにゃ?」
「うるさいのはお前だあぁあぁあっ!!あと音量ってなんだあぁあぁあっ?あたしは機械じゃなぁあぁあぁいっ!!」
「にゃ~。にゃかにゃか鋭い突っ込み!お前意外とやるにゃ?」
「んなことで感心すんなあぁあぁあっ!!この馬鹿猫おっ!!」
「馬鹿猫じゃにゃいにゃ。みゃーは左猫にゃ」
「知るかあぁあぁあっ!!」
そんな光景を見ながら、凪は考えていた。
――どうしようか、と。
しかし、救いの手は意外なところからやって来た。
唐突に、携帯の着信音が聞こえてきたのだ。
「え?誰の?」
「あたしじゃないよ?」
「僕のでもないよ?」
「にゃ。みゃーのだにゃ」
「最近の携帯はすごいんだねー。とうとう獣でも使えるようになったんだー」
しかし花那はその皮肉を聞いていないのか、そもそも気にしていないのか、電話先の相手と話している。
「にゃ?それは本当なのかにゃ?」
そこで花那は、初めて真剣な顔つきになった。
内容が嫌なのか、その声には若干の不満が混じっていた。
そうして二言三言話していたかと思うと、申し訳なさそうな表情をして凪のほうに向き直って、
「にゃ~。悪いけどご主人、みゃーはちょっと急用ができたにゃ」
と言って、鈴を渡した。
「その鈴にゃらしたら、みゃーはご主人のとこに駆けていくからにゃー」
そして彼女は、身軽な猫のごとく家の屋根から屋根へ跳び移って駆けていった。
「…………そういや名前、言ってなかったや」
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