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「で、あなた、さっきのあの方とどういうご関係ザマス?」
やや呆れた顔で、マダムが聞く。
「無関係だ。家族でもなければ、友人でもない。まったくの見ず知らず。赤の他人だ! ま、だれとぶつかったかは知らんが、そんなのはどうでもいい。とにかく謝らせろ。ごめんなさい」
「じゃあ、なんザマスか? あなたは知りあいでもなんでもない人のために謝ると?」
「そうだ。それが謝罪戦士ゴメンナーの使命だ。満足しないなら、もっと謝罪してやってもいいぞ。ごめんなさい。ごめんなさい」
「けっこうザマス。なんだかイラつくザマス。それに、無関係の人間に謝られても許せないザマス」
「まあ待て。怒りを鎮めよ、マダム。聞いてくれ。この現代社会には、どうしても謝れない人々が多くいるのだ。俺は、そんな哀れな子羊たちのために生まれた戦士。だから代わりに謝らせてくれ」
熱く語るゴメンナーは、正直、言いわけを並べているふうにしか見えなかった。それどころか愉悦しているようにすら思えた。
「もういいザマス。わかったから、やめるザマス。いいから、これでジュースでも買って……」
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