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『あーぁマベちゃんがまたナベ焦がしちゃったよ。』
「ちょっと目をはなしただけだぞ!?」
『シチューってのはね常に焦げ付かないように見張ってないと』
『そんなに焦げやすいと思わなかったんだよ!』
『そりゃー焦げるよぉ。だってマベちゃん、火力最大だもん!』
あのあとバスコに大笑いされたな。
「チッだから料理は嫌いだ!」
あん時もこんな感じでいじけてたか…。何も代わり映えしないな。
『そんなところで何してるんだ』
『アカレッド!何でもねぇよ。』
『また鍋を焦がしたそうだな。』
『アカレッドまで俺をバカにするのかよ!悪かったよ!何度も鍋焦がして!』
『別にバカにしにきたわけじゃない。腹が減ってるんじゃないかと思ってな。』
アカレッドが持ってきたのは、できたてのホットケーキだった。
腹は減ってたがなんだか食べる気がしなかった。
『ホットケーキは嫌いか?』
『そうじゃねぇよ。これだってバスコが作ったんだろ?なんかむかつく。』
俺は何でもうまくやれるって当てつけかよ。
『これは俺が作った。』
『………は?アカレッドが!?あんたも料理なんかするのか!?』
今までアカレッドが料理してるところなんて見たことない。
『俺も久しぶりに作った。嫌いじゃないなら食え。』
アカレッドの料理なんてさぞ旨いんだろうな。
俺はホットケーキにかぶりついた。
『ん?』
なんか変な味がする。少しほろ苦い、というか苦い!完璧焦げてる。
『どうだ?』
『苦い…』
『やっぱり駄目か。裏返せばいけると思ったんだが』
よく見ると、表は綺麗に焼けているのに、裏は真っ黒に焦げていた。
『…あんたでも苦手なことがあるんだな』
『当たり前だ。俺は完璧ではないからな。』
完璧だと思ってた。堂々としてるし、なんか悟った風だし。
『マーベラス、人には得手不得手があっていいんだ。完璧じゃないからこそ、そこに無
限の可能性がある。それ食ったら、降りてこい。』
完璧じゃないからこそ無限の可能性か、鍋焦がしただけで話がずいぶんでかくなったな
。
『さて、コレを全部食うのか…』
あれはホントにまずかったなぁ。
さてと、約束したしもう一度作りに行くか。
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