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「げ、人参でかいじゃん」
「今食べるって約束したからな、残すなよ」
「類には一応甘口カレーも作ったから、そっちはみじん切りよ」
「やったね」
ふわんふわんした、幸せな空間に以後事が悪くなった。
つまみ食いをした類くんに困り顔で注意する司さんに、口に手を添えて笑う奥さん。
なんて幸せな家庭なんだろう。
私服がださくても、司さんは良い人だし。
「あ、おねーちゃん、さっき携帯震えてたよ」
ベーコンを摘まんだ手を舐めながら類くんが言う。
現実逃避したくて携帯を鞄から取り出すと、鷹上さんだった。
『俺のニュース見たかな? ごめんね。旺大君に怒られちゃったよ』
……旺大に?
不思議に思い、司さんに了承を取ってテレビを付けた。
するとニュースを読んでいる鷹上さんとばっちり目があった。
まっすぐに、私とニュースが書かれた紙を交互に見ている。
ああ、やっぱり格好良い。
でもどうして右頬に湿布を貼ってるんだろう。
すぐに目を携帯に戻すと、少しスクロールし手続きがあるのに気付いた。
『部屋の暖房を熱くして、君がトイレに言った時にワインに睡眠薬を入れたんだ。頼みモノをして申し訳なかったが……俺には一緒の墓に入りたいパートナーが居るので彼を傷つけたく無くて君を傷つけた』
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