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……。
彼ってなによ。ホモってこと?
気持ち悪い。
私を酔わせてなあなあにして、タクシーに押し込もうとしたってこと?
『タクシーを呼ぶ間、君があまりにぐったりしてるから、俺のパートナーの教え子だった旺大君に頼んだら殴られちゃいました。彼は貴方には優しいですね』
テレビに映る、甘くセクシーな声の鷹上さんとは、それ以後目が合わなかった。
喉が痛かったのは、暖房をあえて薬の周りを早めようとした時だったんだ。
「おねえちゃん、カレーに卵って乗せるよね!?」
「いいや、今日はまず素材のカレーを味わいなさい」
「伊織さん、お飲み物はどうされます? カルアミルクでもいっちゃいます?」
三人の温かい言葉と、婚活敗戦二回目の私は余りに幸せレベルが違って惨めだった。
「伊織さん?」
「ゲロ! ゲコゲコ!」
気付けば、私はテレビの前で、ふっかふかの絨毯に顔を埋めながら泣いていた。
蛙のようにあさましい声で泣いていた。
うわああああああああああん。
私の泣き声は誰かに届いただろうか。
それとも蛙みたいに醜いから、鳴き声だと笑われるだろうか。
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