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「ああ! あの千葉病院の跡取り」
「違うよう。それは千葉司さん。結婚して小学生の息子さんいるもん」
「えーっと、年下すぎない?」
「小学生を言ってるんじゃないの。馬鹿じゃない? 司さんの弟で旺大(おうだい)君っていたじゃない?」
馨はそう言いつつ、ミルクを飲み終わったわが子を肩に抱き、とんとんとゲップさせている。
あーあ。そんな幸せそうな姿、私も早くしてみたい。
馨みたいに、オシャレにハワイで挙式して向こうで一週間子作りしたい。
「お姉ちゃん、旺大君はどうなの?」
「ああ、名前だけは恰好良いのにデブで生意気でぶっさいくで、油ギッシュで最悪だったじゃん。パス。今何してるの? 引きこもり?」
馨は哺乳瓶を洗い出したので、私はソファを占領して携帯を取り出す。
連絡帳には800件ちかくアドレスが入っているのに、ラインを始めたら200ぐらいしか連動出来なかった。ラインをしてないのか、連動させてないのか、……アドレスがもう使われてないのか。
分からないけれど、私の時間がじわじわと短くなっていってるのが分かる。
「旺大君もお医者さんしてるよ。この前、お見合いして婚約してたのに破棄しちゃったんだって」
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