150人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「へー。やっぱ生意気だからかな。性格もぶっさくだったよね」
私がそう言った瞬間、馨の顔が『お前が言うな』と言わんばかりに歪んだ。
自分でも自覚してるから問題ない。
「へえ。でもそっか。破棄されたんなら恋人募集中だよね。医者と合コンとかできるかな。あ、なんかおすそわけないかな。イギリスの紅茶とか」
「……お姉ちゃん、ほんっとう悲しくなるぐらい見る目ないよね」
大きく溜息を吐かれると同時に憐れみの目で見られた。
「サイズやら形やら金やら顔やら、相性やら……そんなものの前に大切なことあるんじゃないの」
「馨……」
形は何も言ってなかったんだけど、とは言えずそのまま赤ちゃんの傍に布団を敷いて眠ってしまった。
それと同時に、ラインに連絡が来た。
以前合コンしたさいに、仕事で途中で帰ってしまった地元のアナウンサーの人だった。
『お願いしたいことあるんですが、会えませんか?』
崖っぷち29歳にその言葉は、『結婚して下さい』と同等の意味を持つぐらい重いメッセージだった。
最初のコメントを投稿しよう!