いつもと違う月曜日

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「ところでその彼って、イケメンさんなんですか」 「え?」 「ほら、同窓会で再会して恋心再び! とかあるじゃないですか。想い出のまま格好良く成長してくれていたら最高でしょう?」  興味津々で尋ねてくる浜中さんに苦笑する。 「ああ。でも彼は想い出のまま成長していないよ」 「あらら。劣化しちゃったんですか」 「こら、歳を重ねることを劣化とか言わない」  年老いることは誰しもが通る道だ。  そう、浜中さんだって通る――んだからなぁぁ! 「ごめんなさいぃ」  口にはしていないが殺気を感じたらしい彼女はすぐに頭を下げ、私はイエイエと笑った。 「でも、逆かな」 「むしろ格好良くなっていたってことですか?」 「あー」  少々恥ずかしくて咳払いしてみる。 「ちょ、ちょっとだけね」 「へえ? ちょっと」 「か、かなりです」  浜中さんの無言の笑みに圧されてそう答えると、彼女はくすくすと笑った。 「あ、彼の写真見せて下さい!」 「ごめん。無いの」 「じゃあ、今度会った時、撮ってきて下さいね」 「えー? 写真撮らせてって言うの? ハードル高いよ」  私が真上君の写真を欲しいみたいじゃない。……少しくらいは。 「何言っているんです。ツーショットですよ、ツーショット!」 「もっとハードルが上がったよ!?」 「彼との心の距離を詰めるために、物理的にも詰めなきゃ」 「無理無理! 勘弁してよ」  私が眉を下げると彼女は口をすぼめた。 「えーもう。仕方がないなぁ。じゃあ、彼の写真だけでいいですよ。それなら何とかなるでしょう?」 「う、うん……まだそれなら」 「ええ、楽しみに待っていますね!」 「あ」  いつの間にか浜中さんに約束させられた私だった。  仕事が終わり、帰りの電車に乗り込んで椅子に座るや否や携帯を取り出すと確認してみた。  しかし大学時代の友人のメッセージが一つ届いていただけで、他からは届いていない。  私は友人に返信すると携帯を膝に下ろした。  昨日の日曜日は外出せず、思い返せば携帯の番をして一日過ごした気がする。  真上君とメッセージのやり取りをしたいなら自分から送ればいいのに、彼がまた連絡すると言っていたからと頑なに連絡することはなかった。  ……お礼のメッセージなら送ってもおかしくないかな。実際、お茶をご馳走になったんだし。  自分に言い訳してみる。  そして私は一つ大きく息を吸うと携帯を持ち上げた。
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