スイーツ男子にご注意

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「もしかしたら昔の方が愛敬無かったのかな。初対面の時、ぶっきらぼうの印象を受けた気が」  それでも不満だった自分の名前を好きにさせてくれたのだから、真上君に好感を持ったのを覚えている。 「初対面ではよく自分の名前のことでからかわれたから」  かなめ、か。確かに女性にでもありそうな名前だ。  それが私たちが話すきっかけだったわけだけど。そして席が隣だったのもあって、よく話すようになったはず。  ……なのになぜ私は彼に『嫌い』と言うまでになったのだろう。 「中学の時、私たち、初めはそんなに仲悪くなかったよね?」 「あー」  真上君は苦そうな笑みを浮かべる。 「俺が突っかかったっていうのは認める」 「どうして? 私、何かした?」  彼は少し黙り込み、そして諦めたようにため息を吐いた。 「中三の時、佐藤は弘貴に告白しただろう?」 「……ん? どの佐藤さんが?」  すると真上君は眉をひそめた。 「え? 弘貴に告白したんじゃないのか?」 「私!? まさか。私じゃないよ」 「俺は弘貴本人から聞いたんだけど」 「それがどーした。私本人が違うと言っているのよ」  どこか疑い深そうな彼の声に私は胸を張った。 「あ、いや、ごめん。佐藤を疑っているわけじゃなくて」 「私たちの学年だけでも佐藤さんは数人いたから誰かとの勘違いじゃない? ほら、例えば五組にもいるじゃない。佐藤花穂さん」  学年で一番可愛いという噂の子だった。同じクラスになったことはないが、すれ違った時、思わず振り返るくらい可愛い子だった。  彼女なら野々村君に告白するだけの自信も度胸もあっただろう。 「佐藤花穂か」  なぜか彼は気まずそうな表情を浮かべる。 「まあ……中学生の時、弘貴に告白はしたらしいな」 「何だ、知っているんじゃない」 「いや。振られたみたいだけど」  そういえばあの時、皆の王子様という存在だったせいか、誰かと付き合っているという噂は聞かなかったかな。  皆のイメージを守るためだったのだろうか。もしかしてそれで今が弾けているのだったりして? 「そう。で? 何でそんなに気まずそうな表情しているのかな? もしかして真上君が振られた相手だとか?」  からかうようにそう言うと真上君は顔をしかめた。 「違う。高校の時、俺が告白されたんだ」 「ソ、ソーデスカ。それは失礼いたしました……」  今度は私が気まずい気分になって目を逸らした。
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