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「魔王は触手アーマーらしいわよ」
「コントかよ」
呆れて顎が外れそうになって俺は席を立つ。
「どこに行くんだ?」
「城の中を散歩」
良く良く考えたら全く自由に動いたことが無い。
この意味のない結婚式を回避するためにも、俺が城の中を歩き回り、魔王暗殺に向いているやつを探すしかない。
俺と魔王の中に、愛だとか恋だとか芽生えたことはない。
なのに、俺の大事な一生に一度の結婚が、同性で世界を破滅できる強者ってありえないだろう。
俺は、裏の皆を愛してるから、結婚で人に縛られたくないのに。
「なあなあ、庭園で眠ってたの魔王だよな?」
一人で歩いてた俺の目の前に、まだ見習いだろう兵士数人が歩いてくる。
「目を閉じてると美形ってユージン王子が言ってたのは本当だったな」
「確かに。あの眠っている体制でも、銅像作れそうなほど美しかった」
「あれで世界を滅ぼす力があるんだもんな」
それぞれ魔王への感想を言いながら俺と捨て違っても何も反応をしめさない。
……俺が魔王を抱いた(と噂された)救世主だと、まだ皆知らないらしい。
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