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庭園の入り口に到着すると、入り口前にある噴水の縁に、眠っている魔王の姿があった。
「わ、あそこに眠ってるのは魔王さまでは?」
「ひざかけをお持ちした方がいいのか?」
「でも起こしたら、掘られるって噂だから放っておこう」
何人か、魔王だと気付いて慌てるものもいたが、やはり魔王に話しかける人はいない。
「あんな美形見たことねえよ、魔王って容姿も金もあるのにどうして悪の道に染まったんだろう」
「何でも持ってそうなのにねえ」
俺は、何人も通り過ぎるだけでひざかけさえもかけてもらえない魔王を少し距離を持って見つめていた。
こんなに綺麗なのに、魔王は誰からも逃げられて、誰も触れようとしない」
どこに居ても一人でいるような、寂しい人だと思う。
「あ、まおうさま、かぜひきそう」
「こら、ちかづくな」
給仕係の制服を着た、子どもが指をさし、父親らしき人物が制しても止める気配はなく近づいていく。
可愛い小さなその手。
その手から愛情を感じるのはいいかもしれない。
が、子どもが歩いてくるとたちまち眠っている魔王からただならぬオーラが感じられた。
「おい、ガチムチなイケメン以外近寄るな。ショタは好かん」
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